コラム

 公開日: 2014-06-16 

寺子屋の教え『実語教・童子教』を考える(その75)─無常を見つめていた長屋の人々と子供たち―

 おはようございます。
 皆さん、今日もお会いできましたね。
 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故の現場をはじめ、復興に尽力しておられる方々に、み仏のご加護がありますよう心よりお祈り申し上げます。



〈今年も『法楽農園』では自然農法による稲作が始まっています。自然農法家の大枝邦良先生が雑草を取り、藁科昇さんがボカシを撒いてくださいました〉

 江戸時代まで寺子屋などの教材となっていた『実語教・童子教』を読んでいます。

 前回まで学んだとおり、親孝行をつらぬいた人々に起こった奇跡を述べてから、諭します。
 人は真理を知り、人の道を歩むことによって、娑婆の苦を克服できるのです。
 そうして生きている人を仏神は見捨てないのです。
 江戸時代の庶民も子供たちも、こう学びました。

「これらの望外な幸せを得た人々はすべて、
 父母に孝養をつくした人々です。
 それを観ておられた仏神のお力によって、願いは成就しました」

 以下、原文です。

「此等(コレラ)の人は皆
 父母に孝養を致し  
 仏神の憐愍(レンビン)を垂(タ)れ
 所望(ショモウ)悉(コトゴト)く成就す」

 続きます。

「生き死にを繰り返す中で、この世でのいのちなど、あっという間の無常なものでしかありません。
 早く苦しみから脱して安寧に生きられるように願いましょう。
 貪り、怒り、自己中心的に考えるこの身は不浄です。
 すみやかに悟りを求めましょう。」

 以下、原文です。

「生死(ショウジ)の命(ミョウ)は無常なり
 早く涅槃(ネハン)を欣(ネガ)うべし  
 煩悩(ボンノウ)の身は不浄なり
 速(スミヤ)かに菩提(ボダイ)を求むべし」

 続きます。

「忌避し、脱すべきは、煩悩にまみれた娑婆の生き方です。
 めぐり会った人などとの間に必ず別れがまっているというままならなさはどうでしょうか。
 いかに恐れても恐れきれないのは、地獄界、餓鬼界、畜生界、修羅界、人間界、天人界の6つを経巡る輪廻転生(リンネテンショウ)です。
 生まれた者は必ず死に、滅するのです。
 寿命などは、はかないカゲロウのようなものです。
 朝に生まれた者が夕方には死を迎えて何の不思議もありません。
 肉体はバショウのようなものです。
 強い風が吹けばたちまちに壊されてしまいます。」

 以下、原文です。

「厭(イト)いても厭(イト)うべきは娑婆(シャバ)なり。
 会者定離(エシャジョウリ)の苦しみ
 恐れても恐るべきは六道(ロクドウ)
 生者必滅(ショウジャヒツメツ)の悲しみ
 寿命は蜉蝣(フユウ)の如(ゴト)し
 朝(アシタ)に生れて夕(ユウベ)に死す  
 身体(シンタイ)は芭蕉(バショウ)の如(ゴト)し
 風に随(シタガ)つて壊(ヤブ)れ易(ヤス)し」

 『方丈記』、『徒然草』、『枕草子』を生んだ日本人の情緒と感性は、江戸時代になり、寺子屋などを通して庶民や子供たちにまで共有されていました。
 声を合わせて「厭(イト)いても厭(イト)うべきは娑婆(シャバ)なり。会者定離(エシャジョウリ)の苦しみ、恐れても恐るべきは六道(ロクドウ)」と読んだ長屋の人々は、いかなる気持で〈娑婆〉を生き、別れに耐え、餓鬼や修羅の心と戦ったのでしょうか。
 声を合わせて「生者必滅(ショウジャヒツメツ)の悲しみ、寿命は蜉蝣(フユウ)の如(ゴト)し、朝(アシタ)に生れて夕(ユウベ)に死す。身体(シンタイ)は芭蕉(バショウ)の如(ゴト)し、風に随(シタガ)つて壊(ヤブ)れ易(ヤス)し」と読んだ子供たちは、いかなる気持で未来を考え、育ったのでしょうか。

 今日の守本尊勢至菩薩様の真言です。
 どなたさまにとっても、佳き一日となりますよう。
https://www.youtube.com/watch?v=qp8h46u4Ja8



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 山里の寺から、有縁無縁の方々の、あの世の安心とこの世の幸せを祈っています。合掌

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