コラム

 公開日: 2014-06-20 

東北関東大震災・被災の記(第151回) ─飼い続けられていた被ばく牛―

 おはようございます。
 皆さん、今日もお会いできましたね。
 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故の現場をはじめ、復興に尽力しておられる方々に、み仏のご加護がありますよう心よりお祈り申し上げます。




〈河北新報様よりお借りして加工しました〉

 原発事故で被曝した後、人間だけが生き残ることを許されたわけではない。
 木も草も、虫も鳥も、魚も貝も、生き残ってきた。

 あの後、〈圏内〉の牛も馬も豚も鳥も皆、殺すよう命じられた。
 与える餌もなく、連れて行く先もなく、もちろん売れず、畜産や酪農をやっていた方々は、泣く泣く従った。
 家族同様に育ててきた家畜を殺すことに耐えられず、自分のいのちを断った方もある。

 そうした中で、約640頭の牛たちが飼い続けられていた。
 保証金をもらい、楽になり、終わりにすることができない人々がいた。
 もちろん、そうして人生を切り替えた方々を揶揄したり責めたりする資格は誰にもないが、売れない牛のために毎日、汗を流し、経費をかけ、事態は決して終わっていないことを訴え続けようとする複数の農家があることには驚いた。
 以下、6月19日付の河北新報の記事『被ばく牛と都内で猛抗議』を転載する。

 福島県浪江町の旧警戒区域内で、福島第1原発事故で被ばくした牛を飼い続けている男性が被ばく牛1頭を連れ出し、東京都内で20日午後、国や東京電力に抗議活動を計画している。
 福島第1原発から20キロ圏にある旧警戒区域内の家畜は域外への移動が禁じられており、論議を呼びそうだ。
 男性は原発事故後、「希望の牧場・ふくしま」を設立した吉沢正巳代表(60)。
 国の殺処分命令を拒否し、福島第1原発から約14キロ離れた牧場で和牛など約330頭の牛を「学術研究」目的で飼い続けている。
 抗議活動は農林水産省、経済産業省、東電本店前などで予定。
 除染廃棄物の中間貯蔵施設建設をめぐる石原伸晃環境相の「最後は金目」発言に反発し、環境省前でも抗議活動を行う。
 吉沢代表は原発事故の風化阻止をはじめ、国の殺処分命令の撤回、被ばく牛調査研究の推進などを訴えるという。
 旧警戒区域内の牛を許可なく域外に移動した例はない。
 福島県畜産課は「福島県産牛の全頭検査を完全実施し、安全安心を必死にPRしてきた努力が無になりかねない」と困惑している。
 農家の避難に伴い餓死したり、国の殺処分命令で安楽死させられたりした牛は計3447頭。
 旧警戒区域内では現在、殺処分を拒否した吉沢代表ら複数の農家が計640頭の牛を飼い続けている。
 吉沢代表は「牛飼いが牛を見殺しにせざるを得なかった絶望の日々を、福島から送られた電気に依存してきた首都圏の人々に被ばく牛と訴えたい」と話している。

 日本にはまだ、こういう土性骨(ドショウボネ)のある方がおられた。
「絶望の日々を、福島から送られた電気に依存してきた首都圏の人々に被ばく牛と訴えたい」
 今から約150年前の「堺事件」を思い出す。
 鳥羽伏見の戦いが終わった慶応4年2月15日、堺港に入ったフランス海軍の水兵たちが数十人、市内を遊び回り、帰艦を求めた警備隊員から隊旗を奪って逃走しようとしたため、銃撃戦となり、フランス側に11名の死者を出した。
 フランス側か受けた法外な請求をすべて飲んだ日本側は、20名の処刑を決めた。
 隊長ら指揮官4名の他16名は、関係した者たちが大阪の土佐稲荷神社に集まり、くじ引きによって決めた。
 24才から39才までの漢(オトコ)たちは、割腹した腸を掴み出し、フランス兵を大喝した。
 あまりの凄惨さに度肝を抜かれたフランス軍艦長アベル・デュプティ=トゥアールは、11名が終わったところで中止を申し出た。
 烈士11名は堺市の宝珠院内「土佐十一烈士墓」に眠っている。

 吉沢正巳氏が〈絶望〉をぶつける予定は20日である。
 あの狂牛病をBSEと呼び換え、ことの恐ろしさをイメージできないように仕向け、文明の根幹にかかわる部分から目をそらさせようとした姑息さを私たちは忘れていない。
 今も続く絶望を白日のもとに掴み出す不屈の精神を讃えたい。

 今日の守本尊阿弥陀如来様の真言です。
 どなたさまにとっても、佳き一日となりますよう。
https://www.youtube.com/watch?v=4OCvhacDR7Y



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 山里の寺から、有縁無縁の方々の、あの世の安心とこの世の幸せを祈っています。/

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