コラム

 公開日: 2014-06-27 

「前衛」と「維新」を考えてみよう ―平成26年7月の運勢―

 おはようございます。
 皆さん、今日もお会いできましたね。
 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故の現場をはじめ、復興に尽力しておられる方々に、み仏のご加護がありますよう心よりお祈り申し上げます。





〈おかげさまにて、6月の例祭も無事、終わりました〉

 今月は、さまざまなものが豊かに満ちる道を考えてみましょう。
 かけ声倒れの目立つ一方で、新しく力強い息吹が起こる時期だからです。

「前衛(ゼンエイ)」という言葉があります。
 元々は後に続く軍隊を衛(マモ)りながら最前線で戦う部隊を指しましたが、転じて、最先端の思想や芸術にも用いられるようになりました。

 伝承の内容を示す資料が少ない秋田県の西馬音内(ニシモナイ)盆踊りの再興を願う人々は、画家岡本太郎や舞踏家元藤燁子(アキコ)や作家永六輔などに認められ、励まされて研究と錬磨を続けてきました。
 作家小坂太郎はこう書いています。
「口碑(コウヒ)で古い箔をつけるよりも、普段に技芸を錬磨することによって、つねに時代のあたらしい生命を吹きこむこと。
 伝統をよみがえらせる新しい感性(前衛性)にこそ伝承の芸の真髄があるものと信ずる。」
 口碑とは言い伝えです。
 歴史的にこうだったという過去の栄光に頼ろうとするのではなく、今を生きる人々の感性に訴え、魂に響く内容を創り続けることこそが肝腎であるという指摘には、相当に重いものがあります。
 地域の特殊性や優位性を誇ることに流されがちな観光事業などに対する鋭い警鐘です。
 過酷な自然環境の中で、社会的に虐げられてきた人々が、いのちの真実をかけ、死者への畏敬の念を込めて守り(「衛」です)育て、磨いてきた不断の努力があったればこそ、西馬音内盆踊りは、他の追随を許さぬ独自の境地へ至りました。
 
 また、「維新」という言葉があります。
『日本書紀』の「天も人も合応(コタ)えて厥(ソ)の政(マツリゴト)惟(コレ)新たなり」、及び『詩経』の「周は旧邦なりといえども、その命これ新たなり」などに由来する思想です。
 大切なのは、新たな道を天も人も喜び、古い国も活き活きしてくるというところにあります。
 土台から〈別もの〉にするのではなく、歴史に培われた叡智の継承を基にし、天神地祇(天地を守ってこられた神々)も人々も皆、喜び、納得するような新しい方向を目ざさねばなりません。
 
 神社を守り、造る家に生まれた葦津耕次郎は、昭和初期に社寺工務所を嗣ぐにあたり、誓いました。
「予(ヨ)が事業に對する信仰は、我と人との、共存共榮、同存同榮である。
 換言すれば、我と人とを包容する社會のためである。
 卽ち國家のためである。
 故にその事業が、國家のために必要なる場合は、決して自己の利害を顧みない。」
 日本が韓国を併合した際には、朝鮮神宮を造営して日本の天照大神をご神体にしようという計画へ反対し、土地の神をこそ祀るべきであると主張しました。
 日本の神々にとどまらず、あらゆる神々を敬する古神道の姿勢を守りつつ新天地を拓こうとしたところにこそ、維新の真髄があるのではないでしょうか。
 なお、葦津耕次郎は、太平洋戦争は必ず負けると考えて開戦に反対し、開戦後は、「やむにやまれぬ独立国としての存続を確保する」自衛の範囲を逸脱する戦線拡大に反対しました。

 勢いが出ている時に、自分という存在を根底から支えているものを省みること、また、先人の汗や願いや苦闘に思いをいたすことはできにくいかも知れません。
 しかし、本当に人間も社会も自然も豊かになる道を歩むためには、〈浅知恵〉を超えた大いなるものに対する畏敬の念が欠かせません。
 なぜなら、私たちは、自己中心的で気の済むようにしか生きたくない存在であり、そうした範囲の思い込みを脱しにくいからです。
 こういう時期こそ、「前衛」や「維新」などについて考えてみたいものです。

 今日の守本尊普賢菩薩様の真言です。
 どなたさまにとっても、佳き一日となりますよう。
https://www.youtube.com/watch?v=rWEjdVZChl0



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 山里の寺から、有縁無縁の方々の、あの世の安心とこの世の幸せを祈っています。

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