コラム

 公開日: 2014-07-23 

供養によって得られるものは? ―恩の確認・心の安寧・死の克服・霊障からの解放─

 おはようございます。
 皆さん、今日もお会いできましたね。
 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故の現場をはじめ、復興に尽力しておられる方々に、み仏のご加護がありますよう心よりお祈り申し上げます。



〈おかげさまで、19名もの方々にご参加をたまわり、無事、草刈りを終えました。深く感謝申しあげます〉







 私たちは先祖供養を行えば何を得られ、供養をしなければ何を得られないのでしょうか。

1 恩の確認

 自分を生み、育ててくれた親や、いのちを引き継いでくださったご先祖様方へ対して報恩の心を持ち、自分にできることをもって表現するのは、人間が人間であるための第一歩です。
 ちなみに、出家者は最初に、恩を忘れぬことと、戒めを守ることの二つをご本尊様へ誓います。
 供養の実践は、ご先祖様にお喜びいただくだけでなく、自分をまっとうな人間たらしめる貴重な機会を、ご先祖様から与えられ、死後にもなお、大きな恩をたまわっているのです。 

 先祖供養は、恩知らずにならぬための第一歩です。

2 心の安寧

 先に逝った人の御霊が安寧であって欲しいと願う時、両手が合わさります。
 一周忌や三回忌など、大きな区切を迎えれば、プロの僧侶に修法を依頼します。
 あるいは仏前で読経したり、写経したりと、自分で行えることを学び、実践します。
 
 私たちの不安はまず、方法がわからないところに発し、方法を信じられることによって、不安は和らぎます。
 たとえば、頭が痛くなって仕事ができなければ、お医者さんから風邪薬などをもらいます。
 相手がよく信じているお医者さんならば、飲んだ瞬間から、「さあ、やるぞ!」となり、薬がただの甘い粉であっても、実際に頭痛が吹き飛んだりする場合すらあります。
 私たちは、人間になったあたりから、埋葬や鎮魂や供養などの方法を、ずっと、模索してきました。
 ぞれは、地域により、宗教により、民族により、国によって千差万別ですが、それぞれにずっと探求と実践を怠らなかった結果として、私たちはどう手を合わせ、どう祈ればよいかを知っています。
 方法を知り、意義を知り、実際に行うことによって心は定まり、落ち着き、あの世の安寧が期待され、信じられ、自分の心にも安寧が生まれます。

 人間が人間であるゆえんの霊性は、身体によって、言葉によって、心によって動き、高められ、曇ったりもします。
 決して、思えばそれでよい、のではありません。
 たとえば、一休和尚が高野山に詣でた時のことです。
 例によって毒舌をふるい、真言僧が結ぶ印をバカにして帰ろうとしました。
 その背に向かって真言僧が手を打ったところ、彼は振り返り、手招きされて今度は引き返したのです。
 また、口に真言を唱えれば、心はみ仏に近づきますが、口に呪詛を唱えれば、心は修羅や地獄に近づきます。
 心に満月をイメージし続けていれば、心は円満さに満ちてゆきますが、心に戦場をイメージし続けていれば、人格はバランスを保てなくなったりもします。
 つまり、身・口・意をいかに使うかが大切であり、仏教はずっと、お釈迦様の境地を目指してその方法を探求してきました。

 供養の方法を知って実践すれば、あの世にもこの世にも安寧がもたらされるのです。

3 死の克服

 ご先祖様の世界、つまりあの世を想う心で供養を続けていれば、いつの間にか、あの世は、この世と断絶した暗黒の世界ではないことに気づきます。
 ご先祖様とご本尊様に守られ、おかげさま、という心で供養を続けていれば、今を守られている安心感が、あの世まで続くことに気づきます。
 この世とあの世とを問わず、娑婆とみ仏の世界とを問わず、あらゆるご縁のおかげで今を生きているという実感があれば、たった一人であの世の旅をするといった感覚は生じません。
 最近の人生相談で多いのは、「お葬式はしなくてもよいのでしょうか?」というものです。
 当山には、このような本音が多く寄せられます。
 いつも最初にお答えする言葉は決まっています。
「ご葬儀と告別式は別ものです。
 それは、結婚式と披露宴のようなものです」
 披露宴をいかなる形や規模で行うか、行わないかについては、判断するための要素がたくさんありましょう。
 しかし、自分を生み、ここまで育て、守ってくださった身近な人々の前で、仏神のお導きにより人生の大きな区切をはっきりとつけることを行わない方がよいという倫理的、社会的意義は見出せません。
 お葬式も同じです。
 告別式と、み仏に導かれてあの世へ向かう区切をはっきりとつけるご葬儀とは、次元の異なる問題です。

 供養を行い、この世を「おかげさま」と生きる人は、あの世へも「おかげさま」と旅立つので、不安も高慢心もなくなるのです。

4 霊障問題からの解放

 事故死と自死と災害死とを問わず、水子やペットも含め、未成仏霊に関するご相談も数多くあります。
 亡くなられたおりに「きちんと引導を渡された」という安心体験がない方には、不安が残りがちであると言えそうです。
 そうした不安をキャッチして〝見える〟や〝聞こえる〟を語る方々が増え、怪しいカウンセラーや宗教団体もあると聞いています。
 信頼できる葬儀と供養のプロに導かれ、自分もできることを淡々と行っていれば、霊障問題で悩まずに済むことでしょう。

 なお、「水子の祟り」はあり得ないことをつけ加えておきます。
 この世でさまざまな因縁を作ったり、善業も悪業も重ねたりといった時間を持たないままに、み仏の世界へ還った水子の霊は、誰に対しても悪意を持ちません。
 経典は説きます。

「人身(ニンジン)、受け難し」

 それは、一つには、無数にいる生きものたちの中で、人間になるというほとんどゼロに近い確率でこの世に現れることが困難であるという意味であり、もう一つには、生まれ出ることそのものが「生苦(ショウク)」とされ、生誕が困難なできごとであるという意味です。
 人間ではない生きものとして、この世の生命世界へ生まれ、死に、気の遠くなるような輪廻転生(リンネテンショウ)をくり返した末に、ようやく人間として胎内に宿ることができますが、最後の最後に、生まれ出るための条件が100パーセント調わない限り、生誕は叶いません。
 だから、人間として生まれ出るためのチャレンジは、ほとんど無限にくり返されています。
 その中で、たった一回、条件を整えてやれなかった父母へ機会を与えてくれたことに感謝するならいざ知らず、どうして祟るのでしょう。
 み仏の世界へ還って行った瞬間から、再チャレンジは始まるのです。
 だから、生んでやれなかった父母は、不憫さを嘆くだけでなく、すなおに詫び、今度は成功するようにと祈り、励ますことが大切です。
 そして、慈悲心を生じたなら、それを周囲の生きとし生けるものたちへとふり向けましょう。
 お地蔵様の讃歎経は説きます。

「この世に過ごす父母たちよ○真にわが子の救済を○涙の中で願うなら○この世において恵まれぬ○子供や病気の人々に○わが子に代わって善根(ゼンコン)を○積むことこそが供養なり○ここに地蔵の大悲心○在るを悟って自らも○地蔵となって励むべし。」

 怖れるなどは水子霊へ対して失礼であり、きちんと供養しなかった自分の引け目がそうした気持にさせたのだと、早く気づきたいものです。

 みだりに霊障を怖れず、人として行うべきことをきちんと行いたいものです。

「のうまく さんまんだ ぼだなん あびらうんけん」※今日の守本尊大日如来様の真言です。
 どなたさまにとっても、佳き一日となりますよう。
https://www.youtube.com/watch?v=LEz1cSpCaXA



 ご関心のある方は当山のホームページ(http://hourakuji.net/)をご笑覧ください。
 山里の寺から、有縁無縁の方々の、この世の幸せとあの世の安心を祈っています。

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