コラム

 公開日: 2014-07-24 

人間として人間に接する話

 おはようございます。
 皆さん、今日もお会いできましたね。
 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故の現場をはじめ、復興に尽力しておられる方々に、み仏のご加護がありますよう心よりお祈り申し上げます。





 韓国人Aさんは、父親から辛い時代について聞かされたことがある。
 かつて日韓併合によって徴用されたおりに、日本人らしく改名させられ、日本語を話させられ、筆舌に尽くせぬ差別を受けた。
「国がなくなるのは悲しいものだ」
 Aさんは、この言葉を忘れない。
 しかし、Aさんは「まず、日本を知ろう」と決意し、日本についてアメリカで学んだ。
 やがて来日し、日本人たちと接するうちに、心の奥底に住むわだかまりは気にならなくなった。
 たとえ激論を戦わせる場面はあっても、心は平安を保っている。
 信頼できる日本人の友人たちは増える一方である。
 私たちは、相手を知り、相手と心を開いて接することにより、お互いの心を共通の涼風が吹く関係になれる。

 Bさんは高校時代、人間関係に悩み、外国へ留学した。
 耐え難い思いをしたが、そこで初めて日本のよさを知り、驚きもした。
 苦しみ、悩んでいた自分も、周囲の人々も、客観的に観られるようになった。
 目覚めさせてくれた外国の仲間に心から感謝している。
 今、Bさんは〈すばらしい日本人〉を生き、〈すばらしい世界中の人々〉と接する仕事をめざしている。
 Bさんは、井の中の蛙を脱する最大のチャンスをものにした。

 ダライ・ラマ法王は、40年ほど前、何本かのフィルムを持ったフィリップスというイギリス人の訪問を受け、チベットに中国人がいることの意義について聞かされた。
 法王はいつものように心を開いたまま話に耳を傾け、やがて体験談を伝えた。
 1930年頃、中国共産党に入党したチベット人たちは日中戦争に加わり、中国軍のチベット侵攻にも協力した。
 純粋にマルクス主義を信じていたからである。
 ところが1956年から1957年ころになると、こうしたチベット人たちは中国人に追い払われ、「ある者は囚人となり、ある者は行方不明になった」(ダライ・ラマ法王著『空と縁起』より)という。
 親愛の情をこめて事実を告げられたフィリップス氏は、思い違いに気づいた。
 法王は述べた。
「この経験は、いかに意見がことなろうとも、われわれは人間の立場で心を通い合わせることができることを、私に確認させてくれた。
 だから、意見の相違は脇において、まず人として語り合うべきだ。
 それこそが、他者の心に善い感情を芽生えさせる方法である。」

 私たちは、相手を人間そのものと観て接したい。
 また、自分の心からも余分な先入観を追い出して人間そのものとして相手の前に立ちたい。
 そこに、〈同じ人間同士〉という貴重な感覚が動く。
 親愛の情も動く。
 善い感情が芽生える。
 そうすれば、相手の長所に気づく。
 こうした気づき合いの先に不毛の対立は起こらず、悪しき高慢心も生じない。
 人は人の間にあってこそ、〈人間〉である。

 さて、現代人は、朝から晩まで、コミュニケーションの道具にかじりついている。
 特に若者たちは、あたかも依存症であるかのごとき危機的様相を呈している。
 1日は24時間しかないのに……。
 これだけコミュニケーションが発達したにもかかわらず、6月には豊橋市内の小学校で、イジメを受けている仲間をかばおうとした女子児童が暴行され、けがと精神的ショックによって3週間も登校できないという事件が起こった。
 担任の男性教師は、イジメと遊びの区別がつかなかったという。
 岡山県で起こった小5女児(11才)の監禁事件で拉致、監禁した藤原武容疑者(49才)は、自宅へ突入した捜査員に「これは自分の妻です」とうそぶいた。

 私たちの周囲にあふれる文明の利器は、はたして、間をつなぐものだろうか、それとも間を破壊するものだろうか?
 文明の利器たちと、〈同じ人間同士〉というかけがえのない感覚との関係について、よく考えてみる必要があるのではなかろうか。

「のうまく さんまんだ ぼだなん あびらうんけん」※今日の守本尊大日如来様の真言です。
 どなたさまにとっても、佳き一日となりますよう。
https://www.youtube.com/watch?v=LEz1cSpCaXA



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 山里の寺から、有縁無縁の方々の、この世の幸せとあの世の安心を祈っています。

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