コラム

 公開日: 2014-08-02 

危険ドラッグ・大リーグの不文律・戒と律 

 おはようございます。
 皆さん、今日もお会いできましたね。
 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故の現場をはじめ、復興に尽力しておられる方々に、み仏のご加護がありますよう心よりお祈り申し上げます。




〈自然界にある者の尊厳〉

 危険ドラッグの蔓延は、本質的に、法律の問題ではなく、モラルの問題である。
 取り締まる法律と、取り締まられる悪行とでは、常に、悪行が先行している。
 法律が変えられるきっかけは、一つには社会の変化であり、もう一つには、新たな悪行の出現である。
 危険ドラッグは、人を危険な状態に陥れる悪行であるとわかっていながら、処罰されないことを楯にして行うタイプの悪行である。
 法律の抜け穴を逆手に取る、あるいは取ろうとする悪行はこっそりと行われたものだったが、最近は、堀江貴文のように堂々と行い、逮捕されても「僕だけ実刑というのは不公平」と主張するタイプが現れている。
 社会的風潮としては、橋下徹大阪市長に見られるとおり、「合法的行為は、批判されるいわれがない」として恣意的に権力を用いる権力者も現れ、「法律」に関するテレビ番組が賑わっている。

 こうした流れの淵源は、小泉純一郎元首相が行った「改革」の手法にあると思われる。
 慣例をふまえたこれまでの方法では自分の主張が通せないと見るや、強引に選挙を行い、これまで自分を育て、総裁として盛り立ててくれた自民党議員たちも堂々と〈敵〉と決めつけ、〈刺客〉を立てた。
 師も、先輩も、一切の人間関係が無視され、若者や著名人などが、実績も実力も人徳もある現職へ刃を突きつけた。
 息子が父親を晒し者にし、学生が教師を引きずり回し、ご近所さんが密告者となった中国の文化大革命さながらのできごとだった。
 この選挙において、現職亀井静香(68才)にいきなりぶつけられた刺客は堀江貴文(32才)であり、得票差はわずか10ポイントしかなかったことを私たちは銘記しておきたい。
 もしも、参政権が18才以上だったなら堀江貴文が当選したはずである。
 あのヒットラーが〈合法的〉に政権を奪い、ドイツを一色に染め上げ、国民の誇りをかき立てて戦争へと突っ走ったことも決して忘れてはならないと思う。
 文化大革命でも、ナチスの運動でも、第一線にいたのは若者たちだったのである。

 さて、8月1日付の河北新報は、元大リーガー松井秀喜氏の「選手らしさ表す『不文律』」を掲載した。

「大リーグには野球規則にないルールがある。
 大差の試合で送りバントや盗塁をしない。
 派手なガッツポーズを見せない。
 ノーヒットノーランをバント安打で破らないなど、対戦相手との関係から生まれたものが多い。」

「大リーグの不文律は、分かりやすく言えば米国人が考える『野球選手らしさ』なのだろう。
 敗者への情けや記録に挑む相手への尊敬、戦う者としての態度など、規則の条文だけではコントロールできない野球に対する姿勢を表していると思う。」

「同じ競技でもルールの盲点を突いて勝利を追求するか、不文律でルール以上に自分たちを縛るかで大きな差が出ると思う。
 もちろんプロだから勝つことが大事だ。
 ただ大リーガーなら誰にも文句を言わせない勝ち方を目指せということ。
 不文律は戦い方を評価する物差しになっている。」

 大リーグに所属する選手たちも、ファンも、社会も、「大リーグ」の名に値するプレーを望み、試合を望んでいる。
 ここで言う「値する」とは、ルールを破らないというレベルの話ではない。
 ルールを超えた、尊厳とでも言うべき世界での価値ある振る舞い方が求められている。

 松井秀喜氏は最後にこう述べている。

「僕がこだわった『野球選手らしさ』を一つ挙げるなら、グラウンドで敵と親しげにしないことだ。
 互いに交流はある。
 だからこそグラウンドではそれを断ち切らないと真の緊張は保てないし、なれ合った雰囲気がファンにも伝わると思った。」

 将棋の対局も、大相撲の取り組みも同じである。
 プロが行う磨き抜いた頭脳や肉体の真剣勝負は、観る者を魅了する。
 それは、人間が行い得る人間たる行為の極限に近づく場面だからである。
 野球も、将棋も、大相撲も、その肝はルールにあるのではなく、相手と競技へ対して畏れを抱きつつ戦う戦士たちの文化的洗練度にあるのではなかろうか。

 ところで、仏教徒は、お釈迦様の昔から戒律を守ってきたが、戒と律とは違う。
 戒は悪行を行わないという内面的戒めであり、覚悟であり、誓いでもある。
 律は教団という社会における外面的振る舞い方であり、ルールであり、罰則もあった。
 ただし、お釈迦様の時代には、真の悔悛が行われ、それが認められた時点で犯罪者の罰は終了となり、社会復帰できた。
 死刑というルールについて、社会的要請があれば存在にやむを得ない面があっても、犯罪者が真の悔悛を行って生まれ変わり、被害者も許すならば罪一等を減ずるといった救済の方法も必要ではないかと当山が主張する根拠はここにある。
 生まれ変わった人間は社会的に許されるべきであり、人間的に別人となった人を殺すのは、はたして正義と言えるだろうか?
 お釈迦様は繰り替えし説かれた。

「罪人も悔悛し尽くせば、やがては社会を照らす灯火ともなる」

 灯火となった人は、すでに、律に反しないだけではなく、戒にも反することのできない人間性ができている。
 ここが重要である。

 法的な悪行を行わないだけでなく、倫理的にも悪行の行えない人間になることこそが最も大切であり、そこを目指さないと人間は霊性に導かれて生きられず、社会は荒れ、新たな悪行を生み出し続ける。
 危険ドラッグは、私たちの社会がもたらした毒であることをよく考えてみたい。

 今日の守本尊普賢菩薩様の真言です。
 どなたさまにとっても、佳き一日となりますよう。
https://www.youtube.com/watch?v=rWEjdVZChl0


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 山里の寺から、有縁無縁の方々の、あの世の安心とこの世の幸せを祈っています。

この記事を書いたプロ

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