コラム

 公開日: 2014-08-04 

お骨に合掌し仏教の歴史をたどる『舎利礼文(シャリライモン)』(その1)

 おはようございます。
 皆さん、今日もお会いできましたね。
 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故の現場をはじめ、復興に尽力しておられる方々に、み仏のご加護がありますよう心よりお祈り申し上げます。





 朝夕はひんやりするようになり、やはり立秋間近と実感させられます。
 午前3時頃に寺務所へ入ると室内の気温は29度ですが、窓を開け、闇一杯に広がるカナカナカナというヒグラシと、ジージージーという地虫たちの声に少々、耳をかたむけながら、あちこちの換気扇を回しているうちに、たちまち、26度になってしまいました。

 さて、昨日から書道教室で書き始めたお経について、少々記しておきます。
 お稽古の前に内容をご説明申しあげたところ、高橋香温先生はじめ、お弟子さんたちも目を輝かせながら聴いてくださったからです。

 それは、ご葬儀やご供養の場でゆっくりと唱えられることの多い『舎利礼文(シャリライモン)』もしくは『舎利礼(シャリライ)』というお経です。
 たった72文字に仏教の歴史が凝縮されています。

「一心頂礼(イッシンチョウライ)
 万徳円満(マンドクエンマン)
 釈迦如来(シャカニョライ)」
 
「あらゆる徳を円満にそなえたお釈迦様を一心に礼拝します。」

 仏道修行は、お釈迦様が悟られた境地に憧れ、それを求めることから出発します。

「真身舎利(シンジンシャリ)
 本地法身(ホンジホッシン)
 法界塔婆(ホウカイトウバ)
 我等礼敬(ガトウライキョウ)
 為我現身(イガゲンシン)
 入我我入(ニュウガガニュウ)」

「お釈迦様の仏舎利と、真理を悟った境地そのものと、真理を象徴する塔婆とを、私たちが敬い礼拝する時、この身に真理が顕現し、悟りの世界と私たちとは一体になります。」

 古人は白米のご飯を銀舎利(ギンシャリ)と呼びました。
 お米が充分に食べられない時代や場所においては、白く光る一粒一粒が、まるでお釈迦様のお骨のように尊く、ありがたく感じられたからです。
 こうしたことでもわかるとおり、生前、たくさんの人々を救ったお釈迦様が亡くなられた後、せめてお骨を拝みたいという人々の思いが仏舎利信仰を生み出しました。
 インドのアショーカ王が、そうした気持に応えようと、全国に仏塔を造り、そこへお釈迦様のお骨を安置したことにより、仏教は一気に広まりました。
 日本でも、故人が最後にこの世へ遺して行ったお骨はとても大切に扱われ、どこの斎場でも、最高の敬意をもって御尊家様へと手渡されます。
 きちんとお骨を納め、「ああ、ここに眠っている」という安心感を伴って合掌する時、この世とあの世はつながります。
 モノであるお骨は当然、土へ還ってゆきますが、〈その場〉のかけがえのなさは、後々、身に沁みてわかるものです。
 最近、一段と多くなったお骨の移転においては、どなたもが熟慮し、一大決心をして改葬されます。
 普通の埋葬でも、改葬でも、納骨が終わり「これで安心しました」と言われる皆さんのお顔には、人としてなすべきことをきちんとやり終えたという達成感が感じられます。

 さて、拝む対象の二番目は、「本地法身(ホンジホッシン)」という難しい言葉になっていますが、要は、悟りを開いてみ仏と成られた(成仏です)お釈迦様の悟りの境地そのものを尊び、礼拝するのです。
 不動の境地そのものは、まさにみ仏の世界であり、いつ、いかなる時代においても揺るぎません。
 だから法(真理)の身(お身体)とお呼びします。

 三番目は、「法界塔婆(ホウカイトウバ)」すなわち、真理の世界を象徴する塔婆にも深い敬意を捧げます。
 塔婆は仏塔を指すストゥーパというインドの言葉を音訳したもので、日本においては平安・鎌倉の時代から、個人のお骨が眠っている場所にも建てるようになりました。
 五輪の塔も同じものです。
 NHKの大河ドラマでは、ひんぱんに武将などの墓地が紹介されますが、現代のお墓のような形ではなく、五輪の塔が建てられている例をとても多く見かけます。
 私たちがお塔婆を捧げるのには、「この世にあるもののすべての徳を捧げます」という意味があります。
 だから、形は下から地・水・火・風・空を象徴する四角形や円形が重ねられ、表にはそれを表す梵字(ボンジ)が書かれ、裏には心を表す梵字が書かれています。
 目に見えるものも、見えないものも、あらゆる存在が持つすべての徳をもって供養します、という深い思いが込められているのです。

 こうして、お骨と、悟りの境地と、供養の心を込めたお塔婆とを敬い、礼拝すると、「現身(ゲンシン)」すなわち、この身このままに「入我我入(ニュウガガニュウ)」が実現します。
 それは、み仏が自分に入って来ることであり、同時に、自分がみ仏の世界へ入って行くことです。
 つまり、み仏と自分は一体になれます。
 そこには、不安も、悩みもありません。
 一体になる方法が探求された結果として登場した密教においては、合掌などの印を結ぶことで身体を一体化し、真言や経文を唱えることで言葉を一体化し、み仏の世界を観想することで心を一体化させます。
 昨日、瞑想会で行った阿字観(アジカン)もこうした形になっており、参加された方々は、み仏に成る〈成仏体験〉をされました。

 これが、前半の36文字に含まれている意味です。

「のうまく さんまんだ ぼだなん あびらうんけん」※今日の守本尊大日如来様の真言です。
 どなたさまにとっても、佳き一日となりますよう。
https://www.youtube.com/watch?v=LEz1cSpCaXA



 ご関心のある方は当山のホームページ(http://hourakuji.net/)をご笑覧ください。
 山里の寺から、有縁無縁の方々の、この世の幸せとあの世の安心を祈っています。

この記事を書いたプロ

大師山 法楽寺 [ホームページ]

遠藤龍地

宮城県黒川郡大和町宮床字兎野1-11-1 [地図]
TEL:022-346-2106

  • 問い合わせ
  • 資料請求

このコラムを読んでよかったと思ったら、クリックしてください。

「よかった」ボタンをクリックして、あなたがいいと思ったコラムを評価しましょう。

1

こちらの関連するコラムもお読みください。

<< 前のコラム 次のコラム >>
最近投稿されたコラムを読む
Q&A
セミナー・イベント
お客様の声

○Aさん(中年女性)の場合 心身の不調を縁としてご加持を受け、自分の願いが通じると実感されました。 そして祈り方を覚え、商売や家庭にさまざまな問題を抱えなが...

 
このプロの紹介記事
遠藤龍地 えんどうりゅうち

人々が集い、拠り所となる本来の“寺”をめざして(1/3)

 七つ森を望む大和町の静かな山里に「大師山 法楽寺」はあります。2009年8月に建立されたばかりという真新しい本堂には、線香と新しい畳のいい香りが漂います。穏やかな笑顔で出迎えてくれた住職の遠藤龍地さんにはある願いがありました。それは「今の...

遠藤龍地プロに相談してみよう!

河北新報社 マイベストプロ

宗教宗派を問わず人生相談、ご祈祷、ご葬儀、ご供養、埋骨が可能

所属 : 大師山 法楽寺
住所 : 宮城県黒川郡大和町宮床字兎野1-11-1 [地図]
TEL : 022-346-2106

プロへのお問い合わせ

マイベストプロを見たと言うとスムーズです

022-346-2106

勧誘を目的とした営業行為の上記電話番号によるお問合せはお断りしております。

遠藤龍地(えんどうりゅうち)

大師山 法楽寺

アクセスマップ

このプロにメールで問い合わせる このプロに資料を請求する
プロのおすすめコラム
村上春樹氏の「影と生きる」に想う ─影が反逆し始めた世界─
イメージ

 おはようございます。 皆さん、今日もお会いできましたね。 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被...

[ 世間は万華鏡 ]

自衛隊員の本音 ─出征する覚悟、辞める無念─
イメージ

 おはようございます。 皆さん、今日もお会いできましたね。 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被...

[ 不戦堂建立への道 ]

12月の守本尊様は千手観音菩薩です ─救われる時─
イメージ

 皆さん、今日もお会いできましたね。 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故...

[ 今月の守本尊様・真言・聖語 ]

Q&A(その32)自業自得なら廻向で救われない? ─因果応報と空の話─
イメージ

 皆さん、今日もお会いできましたね。 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故...

[ 仏教・密教 ]

一年と一周忌供養 ─あの世でもこの世でも救われる話─
イメージ

 おはようございます。 皆さん、今日もお会いできましたね。 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被...

[ 葬儀・供養の安心 ]

コラム一覧を見る

スマホで見る

モバイルQRコード このプロの紹介ページはスマートフォンでもご覧いただけます。 バーコード読み取り機能で、左の二次元バーコードを読み取ってください。

ページの先頭へ