コラム

 公開日: 2014-08-05 

お骨に合掌し仏教の歴史をたどる『舎利礼文(シャリライモン)』(その2)

 おはようございます。
 皆さん、今日もお会いできましたね。
 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故の現場をはじめ、復興に尽力しておられる方々に、み仏のご加護がありますよう心よりお祈り申し上げます。





 これまでに幾度も「献体をしても引導は渡してもらえますか?」という人生相談を受け、幾度も、ご葬儀を行いました。
 もちろん、相手様の宗教、宗派を問わず、数年後に共同墓『法楽の礎』で眠ることになった方々は幾人もおられます。
 モノとしての肉体には何の未練もないが、魂だけは、み仏のお導きにより、自分へ血と心をつないでくださったご先祖様方の世界へ行きたいと願われるのです。
 ここに、目に見える世界での〈まっとうなふるまい〉と、目に見えない世界での〈得心〉との二つを目ざし、極論へ行かない中道を説く仏教の核心が生きています。
 世間でうまくやれればそれでよい、のではなく、自分の心に悟りがあればそれでよい、のでもありません。
 この世のことごとをきちんと行うための正しい考え方があり、それを世俗諦(セゾクタイ)といいます。
 また、悟りの世界における絶対的真理があり、それを勝義諦(ショウギタイ)といいます。

 お釈迦様は、悟りを開かれた時、これは世間的な頭のはたらきでは掴みようのない次元であるから、もう、このまま、向こうの世界へ行ってしまおうと考えられたそうです。
 戦争や諍いの絶えないこの世を眺めれば、自他のいのちと心を一つととらえ、すべてを空(クウ)と観て我(ガ)を離れることなど、誰にもできそうにないと考えられたのも当然です。
 しかし、そこに、梵天(ボンテン…帝釈天)という神様が現れ、「必ず理解でき、救われ得る人々がいますから、是非、人々を苦しみと迷いからお救いください」と懇請し、お釈迦様はついに、法楽という憩いの世界から立ち上がり、説法の旅を始められました。

 説法には二つの方法が用いられました。
 一つは言葉です。
 真理、真実に裏打ちされた言葉は、魂のレベルで通じるからです。
 もう一つは法力(ホウリキ)です。
 言葉の通じない人々へは、異次元の世界を体感させることにより、目と耳と心を開かせ、それから言葉を手渡したのです。
 だから、仏法による自他の救済へ身を捧げるプロの僧侶は、修行の結果として、説得力のある言葉と、異次元へ入る法力との二つを身につけていなければなりません。
 さもないと、メスを持たない、あるいはメスを錆び付かせた執刀医と同じです。

 さて、世俗諦(セゾクタイ)と勝義諦(ショウギタイ)についてのわかりやすい例を挙げます。
 たとえば、借金したならば、返すのは当然です。
 もしも、「自分は空(クウ)だ。細胞も入れ替わっているし、先月の自分はもう、どこにもいない。先月の自分と今の自分は別ものだから、先月の自分がやった約束はもう、どこにもない」などとうそぶいて踏み倒したならば、世間から相手にされません。
 だからといって、約束は守り、礼儀も正しい人が必ずしも人の道を掴み、まっとうな心で生きているとは限りません。
 人生の成功者と目されていた人が裏でとんでもないことをやっていて露見したり、バチカンが、司教による性道徳の堕落と、長年かかわってきたマフィアとの関係に正面から戦いを挑んでいることなどを見ても明らかです。
 人と人との間にある人間として社会人らしいふるまいを保ちながら、人間の尊厳に背かぬ魂で生きることができてこそ、真に人間らしい生き方と言えるのではないでしょうか。
 
 さて、『舎利礼文』72文字の後半です。

「仏加持故(ブツカジコ)
 我証菩提(ガショウボダイ)
 以仏神力(イブツジンリキ)
 利益衆生(リヤクシュジョウ)」
 
「み仏のご加持によって、私たちは悟りを確かめられ、み仏の威神力によって、悟りを得た私たちは生きとし生けるもののためにはたらけます。」
 
「発菩提心(ホツボダイシン)
 修菩薩行(シュウボサツギョウ)
 同入円寂(ドウニュウエンジャク)」

「悟りを求める心を起こし、布施や持戒など六つの修行に勤しみ、生きとし生けるものと共に平安の世界へ入りましょう。」

「平等大智(ビョウドウダイチ)
 今将頂礼(コンショウチョウライ)」
 
「生きとし生けるものは皆、等しく空(クウ)なる存在として生き死にしているということを悟らしめる偉大なる智慧を今、まさに敬意をもって礼拝します。」
   
 こうして、お釈迦様の悟りの境地に憧れ、お骨を尊び礼拝し、仏塔に詣で、お塔婆を立てて祈りつつ、仏教は伝えられてきました。
 たどりついたのが、布施、持戒、忍辱、精進、禅定、智慧という6つの修行により、生きとし生けるものたちと自分は等しく無限のいのちと心の世界を生きているという真理を掴み、真実世界に生きる姿です。
 ぜひ、お盆には実践修行をしましょう。

【水…布施(フセ)の心】  我、水のごとく、素直に、他を潤し、心の汚れを洗い流さん
【塗香(ズコウ)…持戒(ジカイ)の心】  我、塗香のごとく、自他を清め、浄戒そのものになり果てん
【花…忍辱(ニンニク)の心】  我、雨風に負けず咲く花のごとく、堪え忍び、心の花を咲かせん
【線香…精進(ショウジン)の心】  我、線香のごとく、たゆまず、怠らず、最後までやりぬかん
【飯食…禅定(ゼンジョウ)の心】  我、己を捨てて食べ物となる生きものに感謝し、心身を整えん
【灯明…智慧(チエ)の心】  我、灯明のごとき智慧の明かりで道を照らし、まっすぐに歩まん

「のうまく さんまんだ ぼだなん あびらうんけん」※今日の守本尊大日如来様の真言です。
 どなたさまにとっても、佳き一日となりますよう。
https://www.youtube.com/watch?v=LEz1cSpCaXA


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 山里の寺から、有縁無縁の方々の、この世の幸せとあの世の安心を祈っています。

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