コラム

 公開日: 2014-08-23 

私たちは〈日本の山河〉の崩壊を確かに観ているだろうか? ―豪雨の被害に想う─

 おはようございます。
 皆さん、今日もお会いできましたね。
 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故の現場をはじめ、復興に尽力しておられる方々に、み仏のご加護がありますよう心よりお祈り申し上げます。





〈開発予定地に咲く今年限りのひまわり〉



〈今年限りの草むらに〉

 広島などで起こった豪雨の被害には息を呑んでしまう。
 100人に迫ろうとしている人的被害は、当山付近の集落から100人がいなくなってしまうことや、友人・知人たちから100人がいなくなってしまうことを想像すると、絶句するしかない。
 そして、被害者の方々が口々に語る、ガスのような臭いや、焦げたような臭いや、水が溢れる時のようなボコボコという音や、ゴーッという地鳴りなどは皆、闇夜に山河のはらわたが引きちぎられる悲鳴と思える。
 今、私たちは〈日本の山河〉が崩壊する過程に立ち会っているのである。

 これほど安全だと思っていた日本が、実は、世界で最も危険な国のトップクラスとされている事実を知ったのは最近のことである。
 危険とは人間の仕業ではなく、地震や台風などの自然現象である。
 だからといって、地震を抑えたり、台風の進路を変えられたりできるわけではない。
 地震はともかくとして、気象の暴れによる被害は激しさを増しているように思えてならない。
 雨も風も突風も気温も雷も、いわゆる異常気象の「異常」がだんだん「常」となってきているのではなかろうか。
 この変化の主たる原因の一つは、人間の手による自然破壊にあるのだろう。

 5月8日、「日本創成会議」の人口減少問題検討分科会(座長・増田寛也元総務相)は、都市の消滅予測を発表した。
 平成52年には、全国の半数にあたる896自治体に消滅する可能性があるとされた。
 人口のみで考えると、東北地方では宮城県と福島県しか残らない計算になる。
 だから、国家予算を〈効率的に〉投入するにはコンパクトシティー化によって農山村部を放棄し、食糧は外国から安く買えばよいという議論が強まっている。
 しかし、もしも、自分の利益を絶対の尺度として行動する国際金融資本などの気まぐれな動向によって日本の経済が急降下し、食糧がうまく買えなくなったならどうすればよいのか?
 原発事故と同じく「想定外」などと言ってはいられないのである。
 国際的な支援を仰ぎ、外国の意のままになるのか、それとも「国家存立の生命線」を決めて軍隊が出動するのか?
 国民を守るためには何としても食糧を確保せねばならず、水や食糧はもちろん多様なエネルギーさえ供給できる可能性のある農山村部は、人が住んでこそ守られるという厳然たる事実から目を背けるわけにはいかない。
 こうした観点からしても、〈日本の山河〉が崩壊する様子はあまりに悲しく、心底、恐ろしい。

 統計は悲観的なものばかりではない。
 明治大学教授小田切徳美氏は指摘する。
「NPO法人『ふるさと回帰支援センター』の移住相談件数をみると、08年の約2900件が、13年は約1万1千件で、3・8倍という驚くべき伸び率です。
 かつて『団塊の世代』のUIターンブームがありましたが、今は過半数が40歳以下で約7倍に増えています。」
「若者の農山村志向は昨日今日はじまった動きではありません。
 90年代半ばにはじまり、00年代前半にははっきりとした流れになりました。」
「大震災を目にして『いつ終わるかわからない一度きりの人生なんだ』『人生で本当に大事なものは何か』と価値観を問い直した人がほとんどです。」
「人口減対策を考えることは、どのような国土や社会をめざすのかを考えることです。
 その意味で国民一人ひとりの問題です。」(8月20日付朝日新聞「地方都市は生き残れるか」より)

 私たちが〈日本の山河〉を維持し、食糧という国家自立の生命線を確保するための方法は二つしかない。
 一つは環境破壊を止めること、もう一つは食糧とエネルギーを求める若い力が農山村部で躍動することである。
 くり返すが、私たちが今、目にしているのは〈日本の山河〉が悲鳴を上げながら崩壊する過程である。
 何としてもくい止めようではないか。
 父祖が守ってきた山河のために、子々孫々のために。

 今日の守本尊虚空蔵菩薩様の真言です。
 どなたさまにとっても、佳き一日となりますよう。
https://www.youtube.com/watch?v=IY7mdsDVBk8



 ご関心のある方は当山のホームページ(http://hourakuji.net/)をご笑覧ください。
 山里の寺から、有縁無縁の方々の、あの世の安心とこの世の幸せを祈っています。

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