コラム

 公開日: 2014-08-28 

この世でもあの世でも、み仏に見守られ、お導きいただき、救われる私たち

 おはようございます。
 皆さん、今日もお会いできましたね。
 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故の現場をはじめ、復興に尽力しておられる方々に、み仏のご加護がありますよう心よりお祈り申し上げます。





〈モノ金損得に翻弄されず、心の真実を貫きながら昭和という時代を生きた人々の姿は、私たちの心の汚れを気づかせてくれます〉

 ある時、Aさんのお姉さんが亡くなった。
 気丈で明るい故人は周囲の人々から慕われつつ、懸命に夫の生業を支えていたという。
 Aさんは、姉が生まれてまもなく父親を失い、年の離れた自分にはわからない苦労をしてきたことを知ってはいた。

 Aさんは、他界した姉の顔を見ているうちに、いかにも穏やかで安心しきったような表情に隠された寂しさ、悔しさ、辛さ、そして悲しみが一気に伝わってきて愕然とした。
「ああ、俺は今の今まで、姉の心を知らなかった。
 済まない……。
 ――姉さん」
 涙が溢れてきた。
 Aさんの心はもどかしいまま、行き場を失った。

 こうしたAさんの心も考慮し、故人のご遺族は切り詰めた生活をしていながらも、戒名を求め、引導を渡して欲しいと願われた。
 戒名の最初の熟語である院号に、寒風の中で健気に咲き、いち早く春の到来を告げる梅に惹かれる心を示す熟語が出た。
 生きた道を表す道号(ドウゴウ)である真ん中の熟語には、無類の明るさがストレートに出た。
 そして、み仏の御許へ歩む心を示す最後の熟語として、人々の心へ清涼な風を届ける二文字が並んだ。
 戒名をいただくようみ仏へ祈り、授かった導師の心へAさんの思いがどっと流れ込み、瞼が濡れた。

 澤地久枝氏は、懐かしい人々について綴った『昭和・遠い日 近いひと』の「―おしまいのページで―」に書いている。

「なつかしい『遠い日 近いひと』。
 疲れた心をそっと受け入れ、自身を失った心に『みんなそうだよ』と言ってくれる声。
『生きることほど素晴らしいことはない』とつぶやく声。」

 想い出の中で、人は皆、美しくなってゆく。
 この世での迷いや過ちが徐々に消え、み仏の子である本性が生者の心に、いつしか露わになってゆく。
 故人はいつしか、救う存在となり、故人の安寧を願い供養する人そのものが救われる。
 俗名で生きたこの世の人生が、戒名で生きるあの世の旅の道中において清められてゆくからに相違ない。
 お通夜の席で、導師から戒名について説明を受けた方々が流す涙は、死者にとっても生者にとっても尊い清めの聖水であろう。

 Aさんも、涙を隠そうとせず手を取らんばかりに感謝の言葉をくださったご遺族の方々も、真剣に法話を聴き涙ぐんだ参列者の方々も、そして、真実体験を重ねさせていただいた導師も救われた。
 こうした〈現場の真実〉とかけ離れた「戒名は要らない!」「葬儀は要らない!」といった声高な論議は、どこか遠い世界のできごととしか思えない。
 私たちは、この世において、人々のおかげで、自然のおかげで、仏神のおかげで、どうにか生きぬく。
 それなのに、自分の死を覚悟した方が、なぜ、あの世へ逝った途端に「自力だけでことは済む」と思えるのだろう。
 送る方々は、なぜ、「自力だけで安心の境地へ行ってください」と送り出せるのだろう。
 いつも、右手は仏神、左手は自分と観じて合掌している者には、どうも、ピンとこない。
(もちろん、熟慮した結果として戒名や葬儀を用いないと判断した方々の見解を否定するものではありません。
 その方なりの人生をかけたあらゆる見解を心から尊重しています。
 俗名での家族葬を求める方々が相継いでいます。
 率直に心の内を披瀝されるそうした方々も、こだわりなく引導を渡し、当山の共同墓や自然墓に受け入れ、区別や差別をせずにご供養しています)

 今日も仙台市で、仙北の町で、求める方々のために修法を行い、法話を行う。
 求める方々がおられる限り、み仏によって〈共に救われる道〉を皆さんと共に歩みたい。

「のうまく さんまんだ ぼだなん あびらうんけん」※今日の守本尊大日如来様の真言です。
 どなたさまにとっても、佳き一日となりますよう。
https://www.youtube.com/watch?v=LEz1cSpCaXA



 ご関心のある方は当山のホームページ(http://hourakuji.net/)をご笑覧ください。
 山里の寺から、有縁無縁の方々の、この世の幸せとあの世の安心を祈っています。

この記事を書いたプロ

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遠藤龍地

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