コラム

 公開日: 2014-08-31 

「人生の秘め事話した黒電話」「気にせずに生きよおまえのそばがよい」

 おはようございます。
 皆さん、今日もお会いできましたね。
 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故の現場をはじめ、復興に尽力しておられる方々に、み仏のご加護がありますよう心よりお祈り申し上げます。





 8月30日、『シルバー川柳 七転び八起き編』が発行されました。
 フリーペーパー『みやぎシルバーネット』に投稿された膨大な川柳のうち、編集人千葉雅俊氏の選による128句が収められています。
 冒頭の一句からガツンときます。

「人生の 秘め事 話した 黒電話」 佐藤清(87歳)

 若い方はご存じないかも知れませんが、一昔前は、電話線でつながった黒い電話がどこの家にもありました。
 つながっているので、秘め事といえども、たとえば物置の陰やトイレの中などで話すわけにはゆきません。
 周囲の人気(ヒトケ)を見はからい、タイミング良くやりとりするしかないので、大変でした。
 しかし、当時は、電話とは〈そういうもの〉だったので、今の方々が「えっ、そんなに不便だなんて……」と想像するほど苦しく、辛く、もどかしかったわけではありません。
 また、家族間の距離も今よりずっと近かったので、家族の誰かに起こったできごとは当然、家族の皆に起こったできごととしてとらえられるので、一人の秘め事といえども〈口に出さぬ共有〉という側面がありました。
 この句は、詠み手の思いと、去った時代の光景と、その時代を知っている人なりの懐かしさだけでなく、忖度(ソンタク)という大人の態度を培った家族間のあたたかな空気までも感じさせます。
 そして、スリリングなムードは作品の文学的価値を高めており、作者の腕のほどが知られる傑作です。

「気にせずに 生きよおまえの そばがよい」 会田昭夫(73歳)

 年をとると、迷惑をかけたくないという思いが強まる一方で、伴侶なり、家族なり、友人なり、そばにいてくれる誰かの存在そのものがとてもありがたく感じられるようになります。
 この一句は、何らかの理由で夫の時間や労力を強くアテにせねば生きられなくなった奥さんの「すまない」という気持と、そうなった奥さんのそばでつながりの実感を持って生きるご主人の感謝と、双方共に切ない思いが交錯しています。
 まさに、〈生きてみなければわからない〉人生の真実が端的に表現されています。
 
 最近、立て続けに、小さいけれども非常に深刻なできごとが起こりました。
 一つは、さいたま市で起こった盲導犬の傷害事件です。
 全盲の男性(61歳)が連れていたラブラドルレトリバーの盲導犬「オスカー」(8歳)が何者かに刺されました。
 何があっても我慢する訓練を受けていたオスカーは、第三者によって傷が発見されるまで、何カ所も刺され血を流しつつご主人を守り続けました。
 もう一つは、アメリカのニューアーク空港からデンバーに向かう飛行機の中で、リクライニングシートにからんで乗客同士の争いが起こり、飛行機が緊急着陸した事件です。
 男性客(48歳)が前席の背もたれを倒せなくする「ニューディフェンダー」(ひざ保護器)という旅行用具を用いてパソコンを使用していましたが、前席の女性客(48歳)が席を倒せないことを抗議し、乗務員が男性客へ用具をはずすよう求めたところ男性客が拒否しました。
 とうとう、怒った女性客が水の入ったコップを投げつけ、二人は緊急着陸した空港で降ろされました。
 発明者は「事件で販売が増えた。問題は航空会社が座席間隔を狭くしていること」と発言しています。
 いずれの事件も、自分だけ楽しめればよい、自分だけ満足できればよい、自分だけ得をすればよい、といった薄汚い自己中心の心がここまで堂々と育ってしまったかと、あきれ、不安にさせられました。

 誰もが必ず老い、一人で向こうへ旅立つまでの過程において、人と人との間にある人間としてあたたかな雰囲気で暮らせることが最後の拠り所となります。
 自己中心の人は早めにその拠り所を失います。
 モノも金も名声も権力も、このあたたかさを与えてはくれません。
 なぜなら、自分にあるあたたかな心のみが、同じ心の縁を招く力になるからです。
 お釈迦様は、精進せず、人徳もない人の無惨な老後の姿を説かれました。
「白鷺の空池をうかがうがごとし」
 たった一匹になった白鷺が、餌もない空っぽな池のそばで、老いた姿をさらしている光景です。

『シルバー川柳 七転び八起き編』はあたたかな心の宝庫です。
 人生の先輩が川柳を通じて示した真実に学び、自分の生き方をふり返ってみたいものです。

 今日の守本尊阿弥陀如来様の真言です。
 どなたさまにとっても、佳き一日となりますよう。
https://www.youtube.com/watch?v=4OCvhacDR7Y



 ご関心のある方は当山のホームページ(http://hourakuji.net/)をご笑覧ください。
 山里の寺から、有縁無縁の方々の、あの世の安心とこの世の幸せを祈っています。

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