コラム

 公開日: 2014-09-02 

過去は変えられる ―hasunohaへの回答(1)―

 おはようございます。
 皆さん、今日もお会いできましたね。
 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故の現場をはじめ、復興に尽力しておられる方々に、み仏のご加護がありますよう心よりお祈り申し上げます。





 僧侶への質問コーナーhasunohaに寄せられた質問の骨子です。
「宗派に関わらず仏教に触れても良いのでしょうか。」

 当山からの回答です。
「まったく問題ありません。
 そもそも仏教は、普遍的道理への目覚めをもって、私たちが自縄自縛に陥っているところからの解放をめざすものであり、一部の宗派や人間のつごうによる束縛には妥当性がありません。
 生きて行く過程における縁はすべて、み仏との縁であり、気づくか気づかないかは自分自身のありようにかかっています。
 昨夜のNHK教育テレビ『ハートネットTV』において、印象的な発言がありました。
 深刻な家庭環境で苦しむ女子高生へカウンセラーが諭します。
『自分が変われば過去も変わる。意味のある過去になる』。
 この考え方は、表面的には仏教哲学の基本的部分と異なっていますが、見知らぬ女子高生同様、小生の心へも深く降りて来た何ものかがありました。
 霊性へ響いてきた宝ものをきちんと把握し、醸成させ、納得の上、今後の人生相談に生かそうと思っています。
 仏法は、しなやかで、無限に変化向上するものです。
 どうぞ、自在に、お救いを受けられますよう。合掌」

 9月1日午後8時からNHK教育テレビで「ハートネットTV 〝女子高生漂流〟居場所を作れ!」が放映されました。
 少女たちの自立支援を行っている仁藤夢乃氏の言葉です。

「自分が変われば過去も変わります。
 意味のある過去になります」

 これは、まさに目から鱗が落ちる体験でした。

 仏教哲学は、過去になったものごとは変えられないと考えます。
 過去の業(ゴウ)そのものは消せません。
 悪業(アクゴウ)の影響力は、より大きな善業(ゼンゴウ)の影響力によって、相対的に小さなものとなるよう抑えてゆくしかありません。
 たとえば、私の場合、クラス委員長をしていた中学生の頃、議論の末、論理的に間違っていないはずの指示にどうしても従おうとしない副委員長へ手を挙げたことがありました。
 女性を叩いたのは人生の中でこの一回だけですが、70才になろうとしている今も、直後に襲ってきた言いようのない不快感と後悔の感覚が忘れられません。
 水面に落とされた墨の一滴のように広がったものは、徐々に薄れこそすれ、消えてしまいはしません。
 しかし、自分が生じさせた不快感があるおかげで、その後の行動が変わり、今、行っている人生相談においても、DVに苦しむ女性や、言葉による攻撃に苦しむ男性の気持をある程度理解した上で、対応ができていると感じています。

 では、なぜ、この「過去も変わります」に衝撃を受けたのか?
 それは、続く「意味のある過去になります」が千金の重みを持っていたからです。
 過去の事実は、いかなる神様でも変えられません。
 しかし、過去の事実が持つ意味や意義がいかなるものであるかは、現在と未来の生き方や考え方によっていかようにも変わり得ます。
 そして、そこにこそ救いがあるのです。
 常々、「これまで生きてきた人生の中で無駄なものは一つもありません」「まっとうに生きていれば、今の苦労は必ず笑い話になる時がきます」とお話をしながら、端的に「過去も変わる」と考えられず、言えなかった自分の未熟さを突きつけられた思いでした。
 論理につかまるのは恐ろしいものです。
 
 番組の中で、仁藤夢乃氏氏はこうも言いました。

「自分の殻を破って見せれば、相手からも見せてもらえる」

 私が重ねてきた数々の失敗体験は、打ちのめされてご来山される方々とのやりとりの中で、山ほど役に立ちました。

 風間俊介氏は述懐しました。

「健やかなものは敷居が高いのです」

 病んでいる時に、周囲にいる健康な人の溌剌さはどうしても気に障ります。
 挫折に苦しむ人へ手を差し伸べるには、自分の挫折体験から目をそらさないことが基礎になるのだと、あらためて考えさせられました。

 お互い、ままならない人生を生きている者同士であるということを自覚してやってゆかねば、と考えさせられた番組であり、ご質問でした。

 今日の守本尊千手観音様の真言です。
 どなたさまにとっても、佳き一日となりますよう。
https://www.youtube.com/watch?v=IvMea3W6ZP0



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 山里の寺から、有縁無縁の方々の、あの世の安心とこの世の幸せを祈っています。

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