コラム

 公開日: 2014-09-03 

ゲーテの詩と、仰ぎ見るすなおな心 ―8月の聖語─

 おはようございます。
 皆さん、今日もお会いできましたね。
 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故の現場をはじめ、復興に尽力しておられる方々に、み仏のご加護がありますよう心よりお祈り申し上げます。




〈イースト・フォーさんが手がけているクリスティン・バーニー氏の作品〉

 9月の聖語です。

「彼の光を取らんと欲(オモ)わば、何ぞ仰止(ギョウシ)せざらん」

 お大師様は、救い主である大日如来の慈光を求めるならば、すなおに仰ぎ見るのみであると説きました。
 尊きものをすなおに尊いとするまっすぐな心は磨かれた鏡のようなものであり、太陽も月も映し出し、受けた陽光や清浄光をみずからの光として輝かせることもできます。

 夫を亡くされたAさんから、ずっと持っていた二枚の便箋を見せていただきました。
 そこには、テレビ番組を録画し、書き写したゲーテの詩がありました。

「日差しが海を照らす時
 あなたを思い出します

 月影が泉に映る時
 そこにあなたを思い出します

 遠くに鳥が舞い上がると
 そこにあなたの姿を見ます

 暗闇の路地ですれ違う旅人にも
 私はあなたの姿をみます

 日が沈み星が輝くのに
 あなたが ああ 私のそばにいるなら」

 Aさんはこの詩を胸に、いつも、夫の妻であるという自覚を保って生きてきました。
 また、還暦を過ぎたご夫婦は、決して〈自分たちだけ〉という心を持たなかったそうです。
 家族と共に、同僚と共に、友人と共に、地域の方々と共に、自分のできることを行い、人々と共に生きてきました。

 夏の暑い盛りには、職場へ自分たちだけの分しか飲みものを持ってゆくことはなく、同僚や若い人にも分け与えました。
 夕食は大きな鍋などで作ることが多く、家族以外の人も並んで箸を持つ日が少なくありません。

 事故に遭った知人がしばらく入院した際には、共稼ぎの自分たちが仕事にでかける前と、仕事から帰ってきてからと、毎日、若い奥さん一人になった商売の手伝いにゆきました。
 自主的に始めたことではあっても、途中でやめられず、一ヶ月を過ぎたあたりからはもう、夫婦共々ふらふらになり、早く帰ってきて!と、すがるような気持になったそうです。

 夫が入院すると決まった時、Aさんは泊まり込みの看病を決心し、万が一の際に必ず安心の世界へ送ってもらえるよう、家族で決めたお寺へ渡すためのお布施を懐にしてでかけ、看病し通しました。
 亡くなった夫の枕経が終わり、Aさんはこの経緯を添えて袋を差し出し、「どうか、お受け取りください。これで夫も私も安心できます」と頭を下げられました。

 Aさんご家族は、自分たちで共に生きるスタイルを考え、そのとおりでありたいと願いながら生きてきました。
 考える材料になったのは、難しい学問やお経などではなく、生活しながら目にし、耳にする情報でした。
 心が惹かれた情報をすなおにおしいただき、家族で共有し、知人とも共有してきました。
 その一つがゲーテの詩です。
 Aさんご一家には、明らかに、冒頭の句に通じる心があります。

 仏道修行は、決まった手順で行うものばかりではありません。
 そもそも、山川草木、天地自然、人間社会、ありとあらゆるものが、み仏の世界の顕現であり、現象世界で教えを説かぬものは何一つなく、修行の場でない場所はどこにもありません。
 頭を下げられた私の頭は、Aさんよりも深く下がりました。

 今日の守本尊虚空蔵菩薩様の真言です。
 どなたさまにとっても、佳き一日となりますよう。
https://www.youtube.com/watch?v=IY7mdsDVBk8



 ご関心のある方は当山のホームページ(http://hourakuji.net/)をご笑覧ください。
 山里の寺から、有縁無縁の方々の、あの世の安心とこの世の幸せを祈っています。

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