コラム

 公開日: 2014-09-04 

救えぬ猫への思い ―hasunohaへの回答について(2)―

 おはようございます。
 皆さん、今日もお会いできましたね。
 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故の現場をはじめ、復興に尽力しておられる方々に、み仏のご加護がありますよう心よりお祈り申し上げます。






 僧侶への質問コーナーhasunohaに寄せられた質問の骨子です。
「ケガをした猫を見つけたのに自宅で飼ってやれず、判断がどうだったのか、迷いが消えません」

 当山からの回答です。

「貴方様は終始、我が立場でなく、猫の立場に立っておられ、過ちはありません。
 生きとし生けるものは、死ぬべき時がくれば死ぬしかなく、右の道へ進もうと左の道へ進もうと、同じです。
 私たちは、自分のために、あるいは誰かのために、よかれと思って道を選びます。
 しかし、絶対の正解は不可知です。
 他を傷つけないなら少なくともベターではありますが、ベストが何かは永遠にわかりません。
 江戸時代の慈雲尊者は、本当に死すべきものと達観できれば、『雲霧晴れて朗月を見るが如く、人道もここに明らか、天命もここに明らかなり。』と説かれました。
 貴方様は、弱き者としての猫を見て精一杯の心を起こし、その生を保つに十全な方法がとれなかったことを縁として、猫の免れ得ない死を感じておられます。
 そこにある切なさやもどかしさ、そして省みないではいられない思いこそ霊性の発露であり、燈火のような仏心のゆらめきです。
 どうぞ、答のない問いを問うた経験を大切にして生きられますよう。」

 いかに強く思っても、そうしてあげられないことがあります。
 Aさんは夫のために病院へ泊まり込み、看病をしました。
 Aさんは、自分を戒めるために、手書きの「五か条」を持っていました。
「結婚は努力する事
 すべてを共にする事
 幸せになれる様努力する事
 命のつきるまで共に生きて行く事
 夫婦らしく、夫婦らしく」
 もちろん、Aさんは夫を救うとの一念でしたが、夫は他界しました。
 自宅へ帰り顔に白い布をかけられて横たわる夫と、側でかいがいしく事後のことごとに当たるAさん。
 二人はあまりにも〈夫婦らしく〉神々しい姿でした。

 私たちは、近しい人の死に接すると、ああもすればよかった、こうもしたかった、などと、後悔の念が起こります。
 法務第一であり、母親の死に目に会えなかった私も、いまだに、出棺の際に小雨が舞い降りていた光景を忘れられません。
 無一文で修行を始めたために、年老いた両親を古屋の一間へ住まわせていた時の光景は、時に抗って鮮明なままです。
 友人が自らいのちを断ったのに、彼がそこまで追いつめられていたことは知るよしもなく、供養するたびに必ず現れる笑顔によって、どうにか救われています。

 人は皆、相手も自分も共に〈死すべき者〉です。
 そして、その時がくるまで〈ままならぬ〉この世を生きぬいてゆく者です。
 ここを腹におさめ、まっとうに、誠実に生きていると、切なく、もどかしくなりますが、やがて、すべては合掌の中に収斂してゆきます。
 この過程こそが、迷いの煩悩(ボンノウ)を悟りの菩提心(ボダイシン)へと昇華させる道ではないでしょうか。

 今日の守本尊虚空蔵菩薩様の真言です。
 どなたさまにとっても、佳き一日となりますよう。
https://www.youtube.com/watch?v=IY7mdsDVBk8



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 山里の寺から、有縁無縁の方々の、あの世の安心とこの世の幸せを祈っています。

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