コラム

 公開日: 2012-09-11  最終更新日: 2015-07-29

『あの日から1年半』

震災から 1年半が経とうとしています。

街中は、もうすっかり元通りに戻っているように見える所もあれば
住宅地などは、やっと修理が始まった所もあり、また少し海沿いに車を走らせると、
そこはあの日のまま時間がとまってしまったような所も、まだたくさんあります。

「もう1年半」なのか「やっと1年半」なのか、それとも「まだ1年半」なのか・・・
それぞれに思いを巡らす「1年半」です。


そんな中で、先日 あらためてこの「1年半」を思うことがありました。

それは、私が講師を務めている、朗読講座でのことでした。
その日は、受講生がそれぞれ自分の読みたい作品を持参して、
みんなの前で朗読する日でした。

思い思いに選んだ作品の朗読が続き、いよいよ最後の人になったとき・・・
その人は、一遍の詩を朗読しました。
それは文中に「春を恨まない・・・」というフレーズのある詩でした。

私は、この詩が以前、新聞の紙面に載っていたこと、
そしてそれが震災に関連していることを、思い出しました。


もしかしたら・・・と思いました。


その人は、静かな声で、その詩を読み上げていきました。
とても静かに、そしてとても落ち着いた声で・・・

けれども、最後の2行になったとき、彼女の声はとまりました。
そしてこみあげる涙をこらえながら、彼女は最後の2行を読みました。


読み終えた後、彼女は話してくれました。

津波で、お父さんとお母さんと弟さんの3人を亡くしたこと・・・
その日はお父さんの誕生日で、彼女はお父さんにお花を贈っていたこと・・・
そのお花は、地震の約20分前に届けられていたこと・・・

そこにいた全員が、声もなく泣いていました。
だれも、なにも、いう事はできませんでした。ただただ涙するだけでした。


彼女は、言葉を続けました。

今でも、自分の身におきたことが、信じられないこと・・・
現実の事として受け止められずにいること・・・
それでも、毎日、時は過ぎていくこと・・・
そして、やっとこの頃、その思いを少し口に出して言えるようになったこと・・・

震災後、新聞に載ったこの詩を見つけた時、強く胸をうたれたこと・・・
自分にとってこの詩が、とても慰めになったこと・・・
やっと最近、声に出して読めるようになったこと・・・
そしてこれからも、折に触れてこの詩を読んでいきたいと思っていること・・・


私はその時、彼女に何も言えませんでした。
いつも、あんなに「生きた言葉を!!」と言っているのに、
ただただ涙するだけで、私は何も言えませんでした。

せめてもの救いは、彼女がこの詩に出会えたこと。
私は、この詩は、神様が彼女に与えてくれた「ことば」だと思うのです。
救いを求める人に、神様は、何等かの形で、光を与えてくれるのだと思うのです。
私は、そう思わずにはいられませんでした。

そして神様が、人間に授けて下さった「言葉のちから」を
私は、これからも信じて生きていこうと思うのです。
言葉を心の窓にして・・・・・・

これが、あの日から1年半経った今思う、偽りのない気持ちです。

皆さんにとって、この1年半はどんな1年半でしたか?
そして今皆さんは、何を思いますか?        



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