コラム

 公開日: 2017-08-02  最終更新日: 2017-11-04

遺言書のホウレンソウと約束事

先日、「土地や家屋が知らない間に処分(売却)されていた。」とのお問合せがありました。
その不動産は亡くなったお母様が所有されていたもので、お母様は、亡くなった当時成年被後見人となっていたそうです。
そして、亡くなられる1年ほど前からは施設へ入居されていたとのことで、そこには誰も住んでいない状態だったとのこと。
ご相談者含む共同相続人の皆さんは、遠方にお住まいのため現実的にはお身内から後見人に適任の方がいらっしゃらなかったそうで、家庭裁判所で選任された方が後見人に就任されていたそうです。

お話を聞くと、その不動産は10年ほど前に亡くなったお父様(ご主人様)の所有だったものを、お母様の居住用と言うことで、ご相談者(兄弟姉妹含む)全員が遺産分割協議に同意して、お母様の単独名義にしていた土地・家屋だったそうです。

お父様からお母様へ不動産の所有権が移転して直ぐに、被後見人となる前のお母様が直筆の遺言書で「ご自身が亡くなられたらこの不動産は子どもたちでどう処分するか決めてほしい」という内容を遺していらっしゃったそうです。
※ご相談者の希望により、具体的な遺言の内容や、不動産売却の事実を知った経緯は、ここでは控えさせて頂きます。

しかし、お母様の遺言書の内容が反映されることなく、後見人に就任されていた方が施設への入居費用等の捻出のために、お母様名義の土地や家屋を売却されていたことがわかったそうです。
ご相談者は、母の遺言書もあったし、子どもの誰も同意してないのにそんなことをしていいものか?
と、本当に腑に落ちず納得いかないご心境があらわでした。
しかし、この後見人の方は遺言書があったことを全く知らない状況で就任していたこと、お母様の遺された財産である、不動産の売却代金と入居されていた施設の費用を差し引いたものを含めて計算書のようなものと一緒に相続人の皆さまにお返ししていることや、不動産を売却された理由がお母様のためにしたこととして特段法律的に問題はなかったということになったそうです(実際にこのような事案は後を絶たないようです)。
ご相談者の心境も、「私たちの代わりに母の後見人としてお努めいただいたのは感謝しているが、せめて身内の私たちに一言でも聞いてから不動産をどうするかなど決めて欲しかった。終わってから言われても・・・というところでした。

結局私もお話を聞かせて頂いただけで、何もお力になれませんでした。

(さいごに)
遺言書については作成しておくだけでなく、皆さんが存在を認識できるような方法で保管することも、作成と同等以上に重要です。本件は、遺言書の存在を後見人の方が知っていれば、少なくとも、知らないうちに不動産が売却されていたという状況は防げていたかもしれません。
本件のように、お身内以外の人が後見人等へ就任されるケースでは、遺言書の存在がお身内で分かっているときは、その旨を必ず後見人にお知らせし、
たとえ遺言書が見つからなくても(作成自体していないと思われるようなときでも)、「お手間を取らせて非常に申し訳ないのですが、(親などの)不動産等重要な財産を処分(売却等)する可能性があるときは、必ず私たち(子、親、兄弟姉妹など)に事前に相談するようにお願いできませんでしょうか?」など、
お話合い等の上で双方が同意した約束事を持っていた方が良いかもしれませんね。これには確定的な法的な効力までは期待できないかもしれませんが、約束事を書面等にしてお互いに保管しておくことで、相応の抑止力は期待できるのではないかと思われます。

この記事を書いたプロ

帯安行政書士事務所 [ホームページ]

行政書士 千葉帯之

宮城県仙台市宮城野区松岡町56-2 [地図]
TEL:022-778-7566

  • 問い合わせ
  • 資料請求

このコラムを読んでよかったと思ったら、クリックしてください。

「よかった」ボタンをクリックして、あなたがいいと思ったコラムを評価しましょう。

7
<< 前のコラム 次のコラム >>
最近投稿されたコラムを読む
自由記入欄(1)

東仙台よろこびの会の看板が、当事務所(帯安行政書士事務所)看板の隣に設置されました。利府街道沿いで、4号線からガス局交差点へ向かって左側(居酒屋案山子さんの...

 
このプロの紹介記事
千葉帯之 ちばたてゆき

行政書士、遺品整理士だからこそできるワンストップサービス(1/3)

 人間、誰しもが迎える終焉のとき。大切な人が亡くなって葬儀を終えると、遺された人には相続や遺品整理などの仕事が待っています。 煩雑な相続や遺品整理、その一切をご遺族の立場になって行うのが、行政書士の千葉帯之さんです。千葉さんは、「ご遺族は...

千葉帯之プロに相談してみよう!

河北新報社 マイベストプロ

相続の「どうしよう」に出来る限り応えます。

事務所名 : 帯安行政書士事務所
住所 : 宮城県仙台市宮城野区松岡町56-2 [地図]
TEL : 022-778-7566

プロへのお問い合わせ

マイベストプロを見たと言うとスムーズです

022-778-7566

勧誘を目的とした営業行為の上記電話番号によるお問合せはお断りしております。

千葉帯之(ちばたてゆき)

帯安行政書士事務所

アクセスマップ

このプロにメールで問い合わせる このプロに資料を請求する
プロのおすすめコラム
【会話形式】兄弟姉妹での相続(前編)

【子供がいない夫婦の兄弟姉妹と遺産分割協議】当事務所で実際に承った委託業務を、ご依頼者の方に全面的にご了...

家族信託(その2:メリット・デメリット)

【家族信託のメリットとデメリット】 「家族がもめないように相続のプランをきちんと練っておきたい」財産の...

お子さんに墓守してもらいたいとき

現代ではお墓についての概念も変わりつつあるところですが、まだまだ墓守等の悩みを抱える人がいるのが実情のよ...

遺言書は作りませんよ?

「遺言書を作成してほしいと入院中の義理の姉(以下Aさん)が言っているので、相談に乗ってほしい。」そういった...

家族信託(その1:遺言書との違い)

行政書士の千葉帯之です。(はじめに)今回は相続手続きの中で、近頃少しずつ耳にするようになった「家族信託...

コラム一覧を見る

スマホで見る

モバイルQRコード このプロの紹介ページはスマートフォンでもご覧いただけます。 バーコード読み取り機能で、左の二次元バーコードを読み取ってください。

ページの先頭へ